日々の研究や水処理のアレコレなどを綴ります

野崎徹の記事一覧

【万博訪問記】設計士の視点で見た、大阪万博「大屋根リング」と建築基準法の話

 2025/07/01   

こんにちは。野崎です。
梅雨空の中、EXPO2025大阪万博へ行ってきました。

雨の万博会場と予約システムの課題

事前予約などでいろいろ大変でしたが、AM10:00に東ゲートから入場。事前に予約が取れたパビリオンはイタリア館のみでした。

当日はあいにくの雨予報で、万博行きも延期しようかと前日考えていましたが、一緒に行く家族との予定が次いつ合うのかわからないので決行することにしました。東ゲートに並んだ後、入場した途端に予報通りの大雨で、大屋根(リング)の上からの眺望を体験することはしませんでしたが、それでもなかなか見応えがあって良かったです。

ただ、会場内で新たにパビリオンの予約を取ろうとしても、家族分を確保するのはほぼ不可能で、長時間並ぶしか方法はありませんでした。

SNSを使い慣れている娘がX(旧Twitter)でリアルタイムの待ち時間情報を調べてくれたので、予約の取れていたイタリア館以外にも、タイ、サウジアラビア、未来の都市、大阪ヘルスケアなど、いくつか見ることができましたが、スマホを持たない人やSNSを活用していない人が圧倒的に不利になるのはどうなんでしょう?

その辺に少し不満を抱きながら、大屋根(リング)の下で長時間、雨宿りをしていました。

雨の大屋根(リング)と万博会場

設計士の視点から見た「大屋根(リング)」

この大屋根(リング)、一見すると木造の大規模建築物で、建築基準法における様々な規制を満たしていないように思われます。

実はこれ、「仮設」建築物として法規制を回避しているんですよね。

55年前の大阪万博の太陽の塔がその象徴として現在も残されているように、この大屋根(リング)の一部も将来的に残そうとする案が現在議論されているそうです。

そうなると当然「仮設」という理屈は通らなくなり、違法建築物になってしまうわけで、そのための法の特例や解釈が同時進行で練られているようです。

それなら普段の設計業務で、法的に認めてほしいことが他にも色々あるんだけどなあ…と思ってしまいました。

大屋根(リング)の木造構造

【排水処理改善事例】食品工場の既存施設を活かした能力増強計画(天城抗火石散水ろ床法)

 2025/05/20   

おはようございます。野崎徹です。

先日、東北地方にある食品工場へお伺いしました。こちらの工場では、当社の排水処理技術をご採用いただいています。

長年稼働する排水処理施設の現状と増強のご要望

訪問させていただいた工場には、当社が設計・施工を手掛けた天城抗火石(あまぎこうかせき)高速散水ろ床法による排水処理施設が導入されており、稼働開始から10年以上が経過しています。
近年、工場の業績が大変好調でいらっしゃるとのことで、それに伴い排水処理にかかる負荷も完成時より大きく増加しました。そのため、「現状の処理能力では対応が難しくなってきたため、処理能力を増強したい」とのご相談をいただいた次第です。

限られたスペース内での増強:現地調査と検討ポイント

特に今回は、現在施設が設置されているスペース内での改造をご希望とのことでした。 排水処理施設は、工場の敷地内の限られた一角に設置されていることも多く、能力増強や増設の際にはスペースの制約が課題となることが少なくありません

現地では、まず担当者の方と細部にわたり協議を重ね、当社よりいくつかの改善方法についてご提案させていただきました。 その上で、現在の機器の配置や使用状況を丹念に確認いたしました。

10年以上安定して稼働を続けている施設ですが、増強にあたっては既存の設備を最大限に活かすことが重要です。

限られたスペースの中で、どのように効率的な能力向上が図れるか、配管ルートや機器の干渉なども念入りに調査し、今後の改造計画に必要な寸法や情報を収集いたしました。

既存の配管や機器の状態も詳細に調査することで、より現実的で効果の高い計画を立てることができます

最小限の改造で効果を最大化する設計へ

これらの現地調査結果とお客様との協議内容を踏まえ、社に持ち帰り図面の作成を進めさせていただきました。
今回の計画では、既存の施設を最大限に活用し、最小限の改造で効果的な処理能力の増強が実現できる見込みで、そのように設計できたかと自負しております。

既存設備の有効活用は当社の得意分野です

多くの工場では、排水処理施設は敷地内の限られたスペースに設置されています。そのため、能力増強や増設をご検討される際には、このスペースの制約が大きな課題となることが少なくありません。 当社では、新設や大規模な増設のご提案はもとより、お客様がお持ちの既存施設を最大限に活用し、現在の運転状況や将来の事業計画に合わせて処理能力を向上させる方法を得意としております。スペースに制約がある場合でも、様々な角度から検討し、最適な解決策を見つけ出すことを常に心がけております。

お客様の事業の発展に貢献できるよう、これからも現場の状況に合わせた最適なご提案を続けてまいります。

排水処理のお困りごとは、まずご相談ください

排水処理施設の増強や改善、日常の運用管理に関するお悩み、あるいは「うちの工場もスペースが限られているが、何とかならないか」といったご相談など、どのようなことでもお気軽にお声がけください。
弊社では、お客様の状況を正確に把握し最適な解決策をご提案するため、以下の初期対応を無料で実施しております。

  • 現場への迅速な訪問・状況調査
  • 水質検査・分析
  • 改善に向けたご提案・必要に応じたラボテスト

お問い合わせは、下記のフォームまたはお電話にて心よりお待ちしております。

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設計と法規制の壁 – 乗り越えるからこそ生まれる価値

 2025/03/25   

みなさん、こんにちは。野崎徹です。

前回のブログで、排水処理施設計画において屋根付きの機械室などを設ける場合、ほとんどのケースで確認申請が必要になることをご紹介しました。
実は、それだけではなく、建築基準法に加えて都市計画法、工場立地法、消防法、さらには各種条例など、あらゆる法令をクリアしなければなりません。

施主様から「こんな小さな機械室で、そんなに大げさな届出が必要なの?」と驚かれることもありますが、日本の建築関連法令は非常に厳格です。
そのため、計画の初期段階から各種法令のチェックを行い、必要な届出に向けた資料を準備することが重要だと感じています。

先日、消防法関連の事前協議のため掛川消防署を訪れた際、掛川城が見えました。



こちらは平成6年に復元されたそうですね。
その姿を眺めながら、「復元設計者の方々も、法適合に相当苦労されたのではないか」と思いを馳せてしまいました。

法律や規制が多く、設計には様々なハードルがありますが、それを乗り越えることで、安全で機能的な施設を実現できます。
制約があるからこそ工夫のしがいがあり、設計の奥深さを感じる日々です。
これからも、より良い計画を提案できるよう努めていきたいと思います。

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建築士事務所登録のご報告と今後の展望

 2025/02/26   

皆様こんにちは。野崎徹です。
このたび、当社が建築士事務所として正式に登録されましたことをご報告申し上げます。

排水処理施設を設計する際、ほとんどの場合、機械室が必要となります。
この機械室を新たに設けるためには、建築確認申請が必須となり、そのため、これまで当社では機械室部分の設計監理と確認申請を外部の建築設計事務所に委託しておりました。
ですが、外部事務所とのやり取りに時間と費用がかかることが課題となっており、この状況を改善できないかと常々考えておりました。

そこで、社長に「当社を建築士事務所として登録し、建築設計業務を自社で行えるようにしてはどうか」と提案したところ、快く承認をいただきました。

建築士事務所を開設するためには、管理建築士としての資格が必要となり、そのためには建築士免許と建築設計実務経験が求められます。
私は2級建築士であり、長年にわたる設計業務の経験があるため、その点については問題ありませんでした。
しかし、管理建築士講習の修了証が不足していたため、昨年末に講習を受講し、修了考査を受けました。



年明けの1月中旬には修了証が発行され、必要な書類をすべて整えて建築士事務所協会に提出した結果、先日無事に建築士事務所の登録が完了しました。

これにより、今後は設計、申請、着工までの流れがこれまで以上にスムーズに進行することが期待できます。

新たに設立した建築士事務所の名称は「株式会社澤本商事設計事務所」となります。

引き続き、皆さまのご支援とご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

自社設計の排水処理プラントの機器配置と配管工事検査

 2024/12/26   

こんにちは。野崎徹です。
先日、当社設計の排水処理施設の機器配置、配管工事が完了したので検査に行ってまいりました。



今回の機器配置配管工事協力会社は、施設工業株式会社様にご担当いただいております。
非常に丁寧な施工をしていただいただけでなく、設計段階から有益な情報を沢山いただきました。
25年来のお付き合いをさせていただいてる会社様ですが、丁寧さと頼もしさは常に進化されてるように感じます。
ありがとうございました。

施設工業様社長と施工メンバー


施設工業株式会社 増井社長よりコメント

新潟市で環境プラントに関する仕事をしている施設工業株式会社の増井と申します。
このたび新潟市内の食品工場において、株式会社澤本商事様の天城抗火石散水ろ床法の排水処理プラントが採用されまして、弊社は機械設備及び配管工事について施工させて頂きました。
25年以上前からお付き合いをさせて頂いており、主に新潟県内の民間工場において、抗火石処理プラントの導入や既設排水処理施設の機能診断ならびに改善提案を頂きながら一緒に仕事をさせてもらっています。
水処理を中心に食やエネルギーも含めた幅広い分野において、新たな価値をつくりだせるように今後ともご指導の程よろしくお願い致します。


施設工業株式会社様のウェブサイトが先日リニューアルされたばかりなので是非ご覧ください。
https://www.skk.ne.jp/


ここまで順調に施工が進み、残るは試運転となりました。
今後の更新もお楽しみに!

▼これまでの経緯ブログ
排水処理施設の3D図面作成(2024/6/20)
建設中の排水処理施設の躯体配筋検査(2024/10/7)
天城抗火石高速散水ろ床法の石入れ作業(2024/11/14)

▼天城抗火石高速散水ろ床法の詳細はこちら
天城抗火石高速散水ろ床法
環境技術実証事業(ETV事業)

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