こんにちは。株式会社澤本商事、代表の澤本悟博です。
2026年の冬は例年に比べて寒暖差が激しく、微生物の活性が不安定になりやすい傾向が見られます。
水温が低下するこの時期、排水処理の現場で最も警戒すべきトラブルが「バルキング」です。
そもそも、バルキングとは?
バルキングとは
よく混同されがちですが、バルキングは「状態」のことです。
この沈みにくい状態が悪化し、最終的に汚泥が処理水に混じって槽の外へ流れ出てしまう現象のことを「キャリーオーバー(越流)」と呼びます。
つまり、バルキング(原因)を放置すると、キャリーオーバー(最悪の結果)を引き起こし、水質汚濁防止法などの法令違反に直結してしまうのです。


バルキングが悪化し、汚泥が流出(キャリーオーバー)している様子
バルキングを「数値化」して対策する
弊社は数値管理による「排水処理の見える化」を推奨しており、捉えどころのないバルキングも数値化して管理しています。

東洋医学で言う「未病(病気になる前の段階で治す)」の考え方を取り入れています。
対策のタイミングによって、かかるコストと労力はこれほど変わります。
- ① 初期段階:
低コストで改善可能。pH管理や栄養剤の投入だけで、ほぼ正常な状態に戻せます。 - ② 中期段階:
pH管理・栄養剤に加え、沈降剤(凝集剤など)が少量必要となります。 - ③ 終期段階(末期):
pH管理・栄養剤に加え、大量の沈降剤が必要となり、コストが跳ね上がります。最悪の場合、汚泥の全入替えが必要になることもあります。
いかに「初期段階」で予兆に気づき、手を打てるかが運用のカギとなります。
バルキングの主な原因
バルキングを引き起こす原因は一つではありません。現場で以下の項目をチェックしてみてください。
- 栄養塩不足:窒素やリンのバランス(C/N比)の崩れ
- 低BOD汚泥負荷:餌(汚れ)に対して微生物が多すぎる状態
- 長い汚泥滞留時間(SRT):汚泥が古くなりすぎている
- 低DO(溶存酸素):曝気槽の酸素不足
- 低pH:酸性側に傾いている
- 大きな負荷変動:水量や水質の急激な変化
タイプ別バルキングと改善方法
バルキングは大きく分けて3つのタイプに分類されます。原因を調査し、タイプに合った対応策を講じることが重要です。
1糸状菌・放線菌の増殖によるバルキング

糸状性細菌などが異常増殖し、汚泥フロックの沈降を妨げるタイプです。
【対策】 栄養剤(SANAシリーズ等)を添加して栄養バランスを整えたり、曝気強度を調整したりして、糸状菌が増えにくい環境を作ります。
2粘性バルキング(汚泥の粘性増加)
汚泥がドロドロとした粘性を持ち、沈まなくなるタイプです。特に冬場の低水温時に、油脂分解能力が低下して発生しやすい傾向があります。
【対策】 油脂分解酵素や、活性を高める特殊栄養剤の使用が効果的です。
3負荷ショックによるバルキング
pHの急変(pHショック)や、高濃度排水の流入によって微生物がダメージを受けるタイプです。
【対策】 pH調整の徹底や、調整槽での負荷平準化が必要です。
非糸状菌性のバルキングの場合は、曝気槽のDO(溶存酸素)やORP(酸化還元電位)を確認しながら、BOD負荷量に応じた適切な運用管理を行う必要があります。
まとめ
バルキングは放置すればするほど、対策コストが膨れ上がり、リスクも増大します。
弊社では、顕微鏡観察による「菌の状態チェック」や数値管理を通じて、お客様の排水処理施設が現在どの段階にあるかを正確に診断します。
バルキングでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
お急ぎの方は 076-252-5507 までお電話ください。
バルキングに関するよくある質問
「バルキング」は汚泥が沈まなくなる状態(原因)のことです。この状態が悪化し、沈殿槽から汚泥が水と一緒に流れ出てしまう現象(結果)を「キャリーオーバー(越流)」と呼びます。
水温が低下すると微生物の活性が鈍くなり、特に油脂などを分解する力が弱まるからです。未分解の汚れが蓄積すると「粘性バルキング」が発生しやすくなります。
殺菌剤は糸状菌を死滅させる即効性はありますが、同時に浄化に必要な良い菌まで痛めてしまうリスクがあります。弊社では、根本的な原因(栄養不足や酸素不足など)を解決し、良い菌を元気にする方法を推奨しています。
対策に使用する資材については、以下の商品一覧ページもぜひご覧ください。


