こんにちは。株式会社澤本商事、代表の澤本悟博です。
本日は、過去にお客様からいただいた「緊急SOS」のご相談から、劇的に改善に至った事例を、2026年の最新知見を交えて「統合レポート」として公開します。
ご相談内容は「曝気槽にムース状の泡が急増して困っている」という深刻なものでした。
SOS発生:曝気槽を覆う「消えない泡」
当時、現場へ急行し確認した際の写真がこちらです。
曝気槽の表面が、茶色く重たい泡で完全に覆われてしまっていました。

曝気槽全体の様子

粘り気のあるムース状の泡
通常の発泡とは異なり、粘り気が強く、散水してもなかなか消えない厄介な泡(スカム)です。
このまま放置すると、沈殿槽へ泡が流れ込み、透視度の悪化や汚泥の流出(キャリーオーバー)を引き起こす寸前の状態でした。
原因特定:顕微鏡で見えた「放線菌」と「油」
原因を特定するため、直ちに汚泥を採取して顕微鏡観察を行いました。

網目状に広がる放線菌
予想通り、原因は「放線菌(ほうせんきん)」の異常繁殖でした。
放線菌は糸状性細菌に近い挙動を示し、主に以下の条件で爆発的に増殖します。
- 油分(動植物油)の流入が多いとき
- 汚泥の滞留時間が長いとき
放線菌は、代謝により「ミコール酸」という油脂成分に似た物質を放出します。
これが泡の表面をコーティングして膜を作るため、非常に消えにくく、ムース状の泡となってしまうのです。

フロックが分散し、放線菌が絡みついている状態
汚泥フロックも分散気味になり、放線菌が絡みつくことで沈降性が著しく悪化していました。
対策:殺菌剤を使わない「環境改善」アプローチ
放線菌を減らすために安易に「殺菌剤」を使うケースも見られますが、弊社では推奨しません。
殺菌剤は、浄化に必要な良い微生物までダメージを与えてしまい、処理水質の悪化を招くリスクがあるからです。
弊社では、微生物・環境に優しい以下の3つの対策を同時に行いました。
使用した資材はこちらです。
油脂分解剤:SANA-油トールB
澤本商事オリジナルの油脂分解前処理剤です。曝気槽の油分(n-ヘキサン抽出物質)を強力に分解・減少させます。
栄養剤:SANA-N改1-SW
油脂や粘質が多い排水で、BOD負荷が高い場合の栄養バランス調整剤です。粘性バルキングの解消に効果を発揮します。
改善結果:約1ヶ月で劇的な変化!
対策開始から約1ヶ月後の様子をご覧ください。

泡が大幅に減少(2023/1/12

粘性がなくなり、軽い泡に変化
見た目の変化はもちろん、数値面でも明らかな改善が見られました。
| 測定項目 | 改善前 | 改善後(約1ヶ月後) |
|---|---|---|
| 汚泥の粘度 | 31.3 cP(高粘性) | 12.2 cP(サラサラ) |
| SV30 | 100%(沈降不良) | 86%(改善) |
油脂分が分解されたことで、餌を失った放線菌が減少。それに伴い、粘性が低下し、汚泥の沈降性が改善されました。
結果として、沈殿槽でのバルキングや汚泥流出も未然に防ぐことができました。
まとめ
曝気槽の環境(pH、栄養、油分)を変えるだけで、危険な薬剤を使わなくてもトラブルは解決可能です。
「泡が消えない」「放線菌が出てしまった」とお悩みの担当者様、排水処理の困りごとは待ったなしです!
弊社では、すぐに現場へ駆けつけ、顕微鏡観察を含む現場調査、水質検査、最適な資材選定までを無料で行っております。
まずはお気軽にお問い合わせください。
「発泡トラブル」に関するよくある質問
放線菌が出す泡は粘性が強く、通常のシリコン系消泡剤などが効きにくい特徴があります。根本原因である「放線菌」と、その餌である「油分」を分解しない限り、泡は再発し続けます。
主な原因は「油脂分の流入増加」と「長い汚泥滞留時間(SRT)」です。放線菌は油を好んで食べるため、油脂分解が追いついていない現場で発生しやすい傾向があります。
※本記事は、過去に公開した以下の実例レポートを元に、最新情報を加えて統合・再編集したものです。
・【SOS】曝気槽の泡(2022/12/17)
・【改善結果】曝気槽の泡対策の改善結果(2023/1/31)
対策に使用する資材については、以下の商品一覧ページもぜひご覧ください。


