日々の研究や水処理のアレコレなどを綴ります

曝気槽

曝気槽で活躍する微生物とは?その種類と活動について

 2025/01/14   

明けましておめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願いいたします。

代表の澤本悟博です。
年始に風邪をひき、久しぶりの発熱で唸っていました。
みなさまも、時節柄どうかご自愛ください。

さて、本日は日ごろ顕微鏡で観察している、曝気槽で活躍する微生物の活動について綴りたいと思います。

◎ロタリア(袋形動物 輪虫類 ヒルガタワムシ目 ヒルガタワムシ科)

良好時に出現する生物です。
但し、出現数、大きさ、動き方などによって良い方向性に向かうのか、悪い方向に向かうのか(バルキング状態)を判断しています。

低負荷時で過曝気状態の時に、大量発生する場合があります。
そんな時はBOD源の添加、空気量を下げるなどの対策が必要となります。

◎パラメシュウム(繊毛虫門ゾウリムシ目の原生動物)通称ゾウリムシ

中間生物と言われていますが、出現数が多いときは、負荷が高く空気不足であり、DO(溶存酸素)も0.1~0.7程度となっている現場が多くなります。
パラメシュウムが多く、曝気槽の状態も悪くなった場合は、臭気が発生することもあります。

◎スピリルム(スピリルム科の細菌でグラム陰性で螺旋状を呈する。通称らせん菌

負荷が高く、低DO環境で出現する。硫化水素が発生する環境下での出現も多い。
嫌気性の菌なので空気量を増量を行ったり、㏗調整も必要となってきます。

沈殿槽での透視度も3~5cm程度、沈降性もSV30-99~100%と悪くなり、沈殿槽の汚泥界面も高く、バルキング状態となっていることがあります。

また固定床などが曝気槽に組み込まれている場合、固定床が目詰まりし、嫌気状態となり発生することもあります。
その場合は硫化水素臭等が酷く、臭気対策が必要となります。
 

このようにして、出現微生物により曝気槽の状態を推測することができます。
また、適正な対策も行うことができます。空気不足であれば、ブロワーの増強、散気管の増設等、根本解決策も提案しています。

プラント適正能力検討に関するページはこちら

今後も微生物の写真や動画を載せていきます。(無断転載はお控えください)
次回もお楽しみにお待ちください!

お問い合わせもお気軽にお寄せください。
お問い合わせフォームはこちら

タグ: , , , ,

バルキングとは?(数値化で対策・タイプ別バルキング改善方法)

 2024/12/05   

こんにちは。代表の澤本悟博です。
冬になり、バルキングが起こりやすい時期となりました。

そもそも、バルキングとは?

バルキングとは、排水処理において活性汚泥の沈降性が悪化し、沈殿槽で固液分離が十分に進まない状態を指します。
汚泥が処理水に混じって処理水質の悪化を引き起こし一般的にはキャリーオーバーと言われています。

沈殿槽汚泥流出

弊社は数値管理で「排水処理の見える化」を行っていますので、バルキングも数値化しています!

①初期段階で対策を行えば低コストで沈降性を改善できます。
㏗管理、栄養剤だけでほぼ改善できます。

②中期段階で対策を行えば㏗管理・栄養剤の他に、沈降剤が少量必要となります。

③終期段階で対策を行えば㏗管理・栄養剤の他に、沈降剤が大量必要となります。

初期段階で対策を行うことが大切です。
東洋医学で言う「未病」の考え方を取り入れています。

<バルキングの原因>
①栄養塩不足
②低BOD汚泥負荷
③長い汚泥滞留時間
④低DO
⑤低pH
⑥大きな負荷変動時

<タイプ別バルキング>
①糸状菌・放線菌の増殖によるバルキング
②汚泥の粘性増加や凝集性の低下によるバルキング
③㏗ショック、高濃度排水混入による負荷ショックによるバルキング

バルキングを改善するには、原因を調査してそれに合った対応策が必要です。
糸状菌・放線菌バルキングの場合は、栄養剤を添加したり、曝気強度の調整などで糸状菌・放線菌が増えにくい環境を整える必要があります。
非糸状菌・放線菌バルキングの場合は、曝気槽のDO(溶存酸素)やORP(酸化還元電位)を確認しながら、BOD負荷量に応じた排水処理施設の運用管理が必要です。

バルキング対策のページもぜひご覧ください。

バルキングでお困りの方はお気軽にご相談ください。
お問い合わせフォームはこちら
お急ぎの方は076-252-5507までお電話ください。

タグ: , , , ,

曝気槽の泡の種類。

 2024/10/07   

こんにちは。澤本享宏です。

先日こちらの記事のお客様のところに訪問いたしました。

こちらのお客様は定期的に訪問しています。

曝気槽の泡対策の改善結果と効果的だった資剤

訪問すると、当初と似た泡が出ていました。

しかし、よーく見てみると違う泡の種類です。

↓前回の泡。

 

↓今回の泡。

 

 

前の泡はムース状の消えない泡で、放線菌由来でした。

今回は似ているようで、違う泡でした。放線菌ではなく、単純な油の負荷による泡です。

現場担当者に工場内の製造の話を聞いてみました。すると油の負荷がさらに高くなったとのこと。

油の影響だといえる根拠がもう一つ。SV30 です。

油の影響が強いとこのような中割れを起こしてしまいます。

顕微鏡で槽内の様子も観察してみました。

 

油の影響で糸状菌も強くなっていました。

こちらのお客様は以前の記事にも書いてある通り、

弊社の油脂分解材のSANA-油トールBと窒素源補給剤のN改-1を使用しています。

 

油の負荷が高くなると、窒素源も必要になります。

今回の対策は通常の投入量を増量してもらいました。

また経過観察の記事を上げたいと思います。

排水処理場での「油分固着」「臭い」の困りごとは待ったなし!
すぐに駆けつけ、現場調査、水質検査、ラボテストまでを無料でさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください。

次回もお楽しみに!!

 

タグ: , , , ,

夏場の臭気対策

 2024/09/17   

9月も中頃ですがまだ暑い日が続きます。

金沢でも日中は33~34℃と真夏並みです。

 

社長の澤本悟博です。

今回は夏場の臭気対策について記載いたします。

夏場は水温が上昇することで酸素溶解効率が低下し、酸素不足となります。

好気性微生物の活性が弱くなり分解が遅れてしまい臭気が発生します。

特に油分が多い排水では臭気が発生します。

硫化水素が多く玉ねぎの腐った臭いとなります。

黒くなった曝気槽

 

食肉排水で酸素不足で曝気槽が黒くなり臭気が発生。

対策資剤は

曝気槽に粉体の脱臭剤SANA-Sを投入いたしました。

曝気槽容積に対して初期投入は5~10ppmの投入量で、

その後は2~3ppmの投入量となりました。

粉体なので5~10分程度で解け臭気が減少します。

朝、昼、夕と投入してもらい臭気対策を行ってくださいました。

硫化水素はカラダにも有害で、目の粘膜、皮膚、などにも影響が出ます。

排水処理担当の方も気を付けて下さい。

 

今年も酷暑のため臭気でお困りのお客様が多く、

曝気槽にはSANA-S

調整槽には液体脱臭剤β-03、スメロンラックDL-N

等で対応いたしました。

臭気対策は以下をご参考されてお問い合わせください。

し尿処理施設の臭気・悪臭対策

 

 

 

 

 

 

 

タグ: , ,

返送汚泥とは?必要な理由とその重要性

 2024/07/04   

こんにちは。澤本享宏です。

1年前に「研修と現場で学ぶ「汚泥の返送濃度と滞留時間」の重要性」という記事を書きましたが、今回はそもそも返送汚泥とは何か、また上記のことをさらに詳しく説明したいと思います。

活性汚泥法では沈殿槽底に汚泥が沈殿します。
沈殿した汚泥を曝気槽と汚泥貯留槽に返すことを返送汚泥といいます。

そもそも、なぜ返送汚泥をするのでしょうか。

曝気槽への返送汚泥理由は、曝気槽内でのMLSS(汚泥濃度)を維持するためです。
排水処理では毎日工場から原水が流れてきますので、通常は曝気槽への返送汚泥率は処理量と同じく100%行います。
MLSSを維持できないと生物処理ができません。

汚泥返送率は現場ごとに違います。
そのノウハウは、、、お問い合わせください。現場にお伺いして判断させていただきます。

返送汚泥も生物処理をしていく上では重要な要素となります。
ただそれだけを調整したからといって、うまくいくとも限りません。ここが排水処理の難しく、面白いところですね。

スピード対応が求められる排水処理のトラブルに対して、弊社では電話でのご相談(無料)や、速やかに現場に駆けつけての調査(無料)、汚泥を採取し分析・テスト(無料)など、スピード解決のためのサービスの一部を無料で提供していますので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォームはこちら

タグ: , ,

処理水の悪化、油脂処理、臭気処理などお問い合わせ現地調査・ラボテストレポート&資材ご提案まで無料

澤本商事はここまで
最短当日かつ無料
承ります!

お気軽にご相談ください

お急ぎの方はお電話ください

076-252-5507

(平日受付9:00-18:00)

お困りごと相談窓口

お問い合わせ

24時間受付中!