工場の排水処理における「精密ろ過膜」とは
こんにちは、さわまる博士です。
前回、「膜処理」とは、微細な孔(あな)を持つ膜(フィルター)で、水と不純物を分離する技術だと解説しました。この「膜処理」の中で、最も孔のサイズが大きく、排水処理の分野で非常に広く活用されているのが、本日解説する「精密ろ過膜(せいみつろかまく)」、通称「MF膜」です。

排水処理における「MF膜」とは、どのようなものでしょうか?

精密ろ過膜(MF:Micro Filtration)とは、膜処理に使われる膜の一種で、孔の大きさ(孔径)が約 0.01~10μm(マイクロメートル)程度のものを指します。
この孔の大きさは、水に溶けているイオンやタンパク質を通しますが、水中に浮遊している固形物(SS)や、細菌類(大腸菌など、大きさ約1μm)、原生動物などを物理的にシャットアウトするのに最適なサイズです。コーヒーフィルターの孔を、さらに数千分の一以下にしたイメージですね。
排水処理におけるMF膜の役割
MF膜は、その「SSや細菌を通さない」という確実な分離性能を活かし、排水処理の高度化に大きく貢献しています。
- 高度処理(三次処理)
生物処理(活性汚泥法)の沈殿槽から流れ出てしまった、微細なSS(浮遊物質)を完全に除去し、処理水質を格段に向上させる「仕上げ」のろ過装置として使われます。濁度のない、透き通った処理水が得られます。 - 膜分離活性汚泥法(MBR)
排水処理で最も多く使われる用途の一つです。曝気槽にこのMF膜を直接浸漬させ、沈殿槽の代わりに活性汚泥(フロックや細菌)を強制的にろ過します。これにより、沈殿槽が不要になる(省スペース化)と同時に、曝気槽のMLSS濃度を非常に高く保つことができ、処理能力が向上します。 - RO膜などの前処理
より孔の小さい「逆浸透膜(RO膜)」などで純水を作る際、RO膜の目詰まりを防ぐための「前処理」として、あらかじめMF膜でSSや細菌を取り除いておくためにも使われます。
さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!
MF膜は、排水処理の様々な場面で活躍しますが、孔が微細であるため、必ず「目詰まり(ファウリング)」との戦いになります。
特にMBRとして使用する場合、微生物が分泌する粘性物質(EPS)が膜の表面にベッタリと付着し、水の通りを悪くします。そのため、膜を洗浄する薬品(次亜塩素酸ナトリウムなど)の管理や、膜の洗浄方法(物理洗浄・化学洗浄)の最適化が、安定運転のための最重要ノウハウとなるんですよ。
さらに詳しく知りたい方へ
本日はMF膜について解説しましたが、これが含まれる総称である「膜処理」や、MF膜が使われる代表的な技術「膜分離活性汚泥法(MBR)」、そしてMF膜が除去対象とする「SS(浮遊物質量)」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。
よく見られている用語

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