返送汚泥

工場の排水処理における「返送汚泥」とは

こんにちは、さわまる博士です。
活性汚泥法を安定して運転するためには、処理の主役である活性汚泥菌を、常に良い状態で曝気槽内に保っておく必要があります。そのための重要な操作が、本日解説する「返送汚泥(へんそうおでい)」です。

さわまる博士

返送汚泥とは、何のことでしょうか?

返送汚泥とは、最終沈殿槽で沈降・分離させた活性汚泥の一部を、再び曝気槽へ戻す汚泥のことです。この操作自体を「汚泥返送」と呼びます。

なぜ汚泥を返送する必要があるのですか?

活性汚泥法では、曝気槽から混合液が連続的に沈殿槽へと送られています。もし、沈殿槽で沈んだ汚泥をそのまま全て引き抜いてしまうと、曝気槽内の活性汚泥菌がいなくなり、排水を浄化できなくなってしまいます。
そこで、沈殿槽で沈んで濃縮された、元気な活性汚泥菌を多く含む汚泥を曝気槽へ「返送」することで、以下の重要な目的を果たしています。

曝気槽内の活性汚泥菌濃度(MLSS)の維持

排水を効率よく処理するためには、曝気槽内の活性汚泥菌濃度(MLSS)を一定の適切な範囲に保つ必要があります。返送汚泥は、このMLSSを維持するための、いわば「補充要員」の役割を担っています。

処理能力の安定化

常に活性の高い汚泥を曝気槽に戻すことで、新たに入ってくる汚れた排水に対しても、高い処理能力を安定して発揮することができます。

返送汚泥の管理で重要なこと

返送汚泥率の調整

流入する排水量に対して、どれくらいの割合の汚泥を返送するかを示したものを「返送汚泥率」と呼びます。この比率を調整することは、曝気槽のMLSSや沈殿槽の汚泥界面をコントロールするための重要な運転管理項目です。返送率が高すぎると、沈殿槽への負荷が増えて固液分離が悪くなる可能性があり、低すぎると曝気槽のMLSSが維持できなくなる可能性があります。排水の量や質、汚泥の沈降性などに応じて、最適な返送率を設定する必要があります。

返送汚泥ポンプの管理

汚泥の返送はポンプによって行われます。この返送汚泥ポンプが安定して稼働しているか、設定通りの量を送れているかを日常的に点検することも大切です。

さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!

返送汚泥と、以前解説した「余剰汚泥」は、どちらも沈殿槽から引き抜かれる汚泥ですが、役割は全く違います。

  • 返送汚泥
    処理能力を維持するために、曝気槽へ「戻す」ための汚泥。
  • 余剰汚泥
    増えすぎた分を、システムの外へ「捨てる」ための汚泥。

この違いをしっかり理解しておくことが、運転管理の第一歩ですよ。

さらに詳しく知りたい方へ

本日は返送汚泥について解説しましたが、関連する「活性汚泥法」「曝気槽」「沈殿槽」「余剰汚泥」「MLSS」「汚泥界面」といった各用語についても、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。もし、返送汚泥の管理やMLSSのコントロールでお困りのことがありましたら、いつでも澤本商事にご相談ください。

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