工場の排水処理における「n-ヘキサン抽出物質」とは
こんにちは、さわまる博士です。
工場の排水処理で、特に問題になりやすい物質の一つに「油分」があります。この油分の量を測るための公的な指標が、本日解説する「n-ヘキサン抽出物質(ノルマルヘキサンちゅうしゅつぶっしつ)」です。少し名前が長いですが、とても重要なのでしっかり覚えていきましょう。

n-ヘキサン抽出物質とは、何のことでしょうか?

n-ヘキサン抽出物質とは、水の中に含まれる、n-ヘキサンという薬品(有機溶剤)に溶け出す物質の総称です。
これは、水質汚濁防止法などで「油分」の量を測定するための公定分析法として定められています。
油分(油脂類)はn-ヘキサンによく溶ける性質があるため、試料となる水にn-ヘキサンを加えてよく混ぜ、油分をn-ヘキサン側に移し取った後、n-ヘキサンを蒸発させて、後に残った物質の重さを測ることで、水中の油分量を測定します。
一般的に、この指標は「油分(Oil and Grease)」とほぼ同じ意味で使われます。
なぜn-ヘキサン抽出物質が重要なのですか?
排水中の油分は、様々なトラブルの原因となります。
- 生物処理への悪影響
油分が活性汚泥菌の表面を覆ってしまい、その働きを阻害します。 - 配管や設備の閉塞
油脂が冷えて固まり、配管などを詰まらせる原因となります。 - 環境汚染
河川や海に流出すると、油膜を形成し、水中の生物に深刻な影響を与えます。
こうした理由から、n-ヘキサン抽出物質は法律で厳しい排水基準が設けられており、特に油を使用する機会の多い工場(食品工場、金属加工工場など)では、非常に重要な管理項目となります。
除去方法について
排水中の油分は、その状態によって除去方法が異なります。
水面に浮いているような油(浮上油)は「油水分解槽」や「グリストラップ」で比重差を利用して分離します。
水中に微細な粒子として分散している油(乳化油・エマルション)は、薬品で結合させる「凝集処理」や、気泡で浮かせる「加圧浮上処理」などで除去する必要があります。
さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!
飲食店などに設置される「グリストラップ」の管理が不十分だと、下水道に流された油が下流で固まり、大きなトラブルの原因となることがあります。n-ヘキサン抽出物質は、大規模な工場だけでなく、身近なところでも管理が求められる指標なのです。
さらに詳しく知りたい方へ
本日はn-ヘキサン抽出物質について解説しましたが、その除去設備である「油水分解槽」「加圧浮上処理」や、関連する「グリストラップ」「凝集処理」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。
排水中の油分除去でお困りの際は、いつでも澤本商事にご相談ください。
よく見られている用語
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