F/M比

工場の排水処理における「F/M比」とは

こんにちは、さわまる博士です。
活性汚泥法を用いた排水処理は、目に見えない微生物たちの働きに支えられています。この微生物たちに、無理なく、効率よく働いてもらうためには、彼らの「労働環境」を適切に管理する必要があります。

その労働環境の過酷さを示す、最も重要な健康診断の数値が、本日解説する「F/M比(エフエムひ)」です。

さわまる博士

排水処理における「F/M比」とは、どのようなものでしょうか?

F/M比とは、「Food(食べ物)」と「Microorganism(微生物)」の比率を示す値で、日本語では「汚泥負荷(おでいふか)」とも呼ばれます。

具体的には、曝気槽に1日に流入する「食べ物」の総量(=BODの量)を、曝気槽内に存在する「微生物」の総量(=MLSSの量)で割った値です。

  • F(Food):1日に流入するBOD量 (kg-BOD/day)
  • M(Microorganism):曝気槽内の全微生物量 (kg-MLSS)
  • F/M比 = F ÷ M (kg-BOD / kg-MLSS・day)

この数値は、微生物1kgあたりが、1日にどれくらいのBOD(汚濁物質)を処理しなくてはならないか、という「仕事量(負荷)」を表しています。

F/M比で何がわかるのか?

F/M比は、曝気槽の運転状態が適正かどうかを判断する重要な指標です。排水処理の設計(標準活性汚泥法、長時間曝気法など)によって、目標とすべきF/M比の範囲は異なります。

  • F/M比が高い(高負荷)
    微生物の量に対して、BOD(食べ物)が多すぎる状態です。「過食」状態であり、微生物が流入するBODを食べきれず、処理水質が悪化する原因になります。フロックの形成も悪くなり、沈降性が低下しやすくなります。
  • F/M比が低い(低負荷)
    微生物の量に対して、BOD(食べ物)が少なすぎる状態です。微生物が「飢餓状態」となり、エネルギー不足でフロックの粘着性が失われ、細かく砕けて(解体)しまうことがあります。これにより、沈殿槽で沈まず、処理水が白濁する原因にもなります。

さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!

排水処理を安定させるには、このF/M比を、その処理方法に合った「適正範囲」に保つことが非常に重要です。

工場の稼働状況や季節によって流入するBOD量(F)が変わる場合、曝気槽MLSS濃度(M)を、余剰汚泥の引き抜き量や返送汚泥の量で調整し、F/M比を一定に保つようにコントロールするんですよ。

さらに詳しく知りたい方へ

本日はF/M比について解説しましたが、この計算に使われる「BOD」や「MLSS」、そして処理の舞台である「曝気槽」や「活性汚泥法」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。

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