余剰汚泥

工場の排水処理における「余剰汚泥」とは

こんにちは、さわまる博士です。
活性汚泥法などの生物学的排水処理では、活性汚泥菌が汚れを食べて増殖していきます。これは処理が順調な証拠ですが、増えすぎた分は適切に管理する必要があります。本日は、その増えた分の汚泥、「余剰汚泥(よじょうおでい)」について解説します。

さわまる博士

余剰汚泥とは、何のことでしょうか?

余剰汚泥とは、生物学的排水処理プロセスにおいて、活性汚泥菌が増殖した結果、処理システム内の汚泥濃度を一定に保つために、系外へ計画的に引き抜かれる余分な活性汚泥のことです。「引き抜き汚泥」とも呼ばれます。

なぜ余剰汚泥を引き抜く必要があるのですか?

もし増殖した分の汚泥を引き抜かずに放置すると、曝気槽内の活性汚泥菌濃度(MLSS)が上昇し続けます。これにより、酸素供給が追いつかなくなったり、沈殿槽での沈降性が悪化したり(バルキングの原因)と、処理全体のバランスが崩れてしまいます。余剰汚泥を引き抜くことは、曝気槽内の微生物環境を最適な状態に保ち、安定した処理を維持するために不可欠な操作なのです。この引き抜き量の調整により、汚泥の「年齢」(SRT:汚泥滞留時間)もコントロールされます。

引き抜かれた余剰汚泥の行方(処理と処分)

引き抜かれた余剰汚泥は、水分を約99%以上含む液体状(スラリー)であるため、そのままでは扱いにくく、体積も非常に大きくなります。そのため、以下のような処理を経て、減容化・安定化が図られます。

濃縮・脱水

まず、重力沈降や機械(濃縮機)によって水分を減らし(濃縮)、次に脱水機(回転円盤、ベルトプレス、スクリュープレスなど)でさらに水分を圧搾して取り除き(脱水)、運搬や処理がしやすい固形状の「脱水ケーキ」にします。

乾燥・焼却・リサイクル

脱水ケーキは、さらに乾燥させて水分量を減らしたり、焼却して灰にしたりすることで、大幅な減容化が可能です。近年では、ただ処分するだけでなく、発酵させて肥料(コンポスト)にしたり、セメントの原料として再利用したり、焼却時の熱をエネルギーとして回収したりと、資源としての有効活用(リサイクル)も進められています。

最終処分

リサイクルできない汚泥や焼却灰などは、最終的に「産業廃棄物」として、法律に基づき適正に管理・処分されます。

余剰汚泥の管理で重要なこと

余剰汚泥の引き抜き量を適切に管理することは、排水処理の安定運転とコスト管理の両面で重要です。引き抜き量が少なすぎれば処理が不安定になり、多すぎれば活性汚泥菌が不足し、また汚泥の処理・処分費用が増大します。日々の運転データ(MLSS、SRT、流入負荷など)を基に、最適な引き抜き量を判断することが求められます。

さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!

余剰汚泥は、排水処理コストの大きな部分を占めることも少なくありません。近年では、微生物の増殖自体を抑制したり、汚泥を減容化したりする新しい技術も開発されています。汚泥処理コストの削減は、工場全体のコスト削減にもつながる重要なテーマなのですよ。

さらに詳しく知りたい方へ

本日は余剰汚泥について解説しましたが、関連する「活性汚泥法」「MLSS」「SRT」「汚泥処理」「産業廃棄物」といった各用語についても、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。もし、汚泥の減容化や処理コストの削減でお困りのことがありましたら、いつでも澤本商事にご相談ください。

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