工場の排水処理における「脱窒」とは

こんにちは、さわまる博士です。
前回解説した「硝化」は、排水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素（NO3-N）に変えるプロセスでした。しかし、これだけでは窒素の形態が変わっただけで、排水中から窒素を「除去」したことにはなりません。

窒素を排水中から完全に取り除き、T-N（総窒素）の値を下げるための「最終段階」が、本日解説する「脱窒（だっちつ）」です。

排水処理における「脱窒」とは、どのようなものでしょうか？

脱窒とは、「硝化」プロセスで生成された硝酸性窒素（NO3-N）や亜硝酸性窒素（NO2-N）が、脱窒菌と呼ばれる微生物の働きによって還元され、最終的に無害な窒素ガス（N2）として大気中に放出される生物化学的反応のことです。

この反応は、「硝化」とは正反対に、酸素がない環境（嫌気条件）で進みます。また、脱窒菌が働くためには、BOD成分などの「エサ（有機物）」が必要となります。

排水処理プロセスにおける脱窒の役割

脱窒の最大の役割は、水環境の富栄養化の原因となる窒素成分を、ガスとして排水処理系外に取り除き、T-N（総窒素）の排水基準を遵守することです。

実際の排水処理プラントでは、酸素が豊富な「好気槽（曝気槽）」と、酸素がない「嫌気槽（無酸素槽・脱窒槽）」を組み合わせて配置します。例えば、硝化が進んだ曝気槽の水を脱窒槽に戻し（循環）、そこへ流入してくる排水のBODをエサにして脱窒を行う、といった高度な運転（循環式硝化脱窒法など）が行われます。

さわまる博士の
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