沈殿槽

工場の排水処理における「沈殿槽」とは

こんにちは、さわまる博士です。
排水処理のプロセスでは、汚れを分解する工程と同じくらい、きれいになった水と、役目を終えた汚泥をしっかりと分ける工程が重要です。その大役を担っているのが、本日解説する「沈殿槽(ちんでんそう)」です。

さわまる博士

沈殿槽とは、どのような役割を持つのでしょうか?

沈殿槽は、水中に浮遊する固形物を重力を利用して沈降させ、上澄みの清澄な水と分離するための設備です。活性汚泥法では、曝気槽の後段に設置され、活性汚泥フロックを沈降分離させる「最終沈殿槽」がこれにあたります。

固液分離を行う

沈殿槽の最も基本的な役割は「固液分離」です。曝気槽から送られてくる、活性汚泥と処理水が混ざった混合液の流れを穏やかにすることで、水よりも比重の大きい活性汚泥フロックを自然に沈降させます。

清澄な処理水を得る

活性汚泥が十分に沈降することで、槽の上部には清澄な処理水(上澄水)が得られます。この上澄水が、消毒などの最終工程を経て放流されます。したがって、沈殿槽の性能が、最終的な放流水質を決定づける重要な要素となります。

活性汚泥を回収・返送する

沈殿槽の底部に沈降・濃縮された活性汚泥は、その一部が「返送汚泥」として曝気槽へリサイクルされます。これにより、曝気槽の活性汚泥菌濃度が適切に保たれ、安定した処理が可能になります。

沈殿槽の主な構成設備

沈殿槽は、効率的に固液分離を行うための様々な工夫がされています。

  • 汚泥かき寄せ機(スクレーパー)
    槽の底部に設置され、ゆっくりと回転または往復しながら、沈降した汚泥を槽の中心部や一端にある汚泥引き抜き口へと集める装置です。
  • 越流堰(えつりゅうせき)
    槽の出口側に設けられた仕切りで、きれいになった上澄水だけが均一に静かにあふれ出る(越流する)ようになっています。
  • 形状
    上から見て円形の「円形沈殿槽」と、長方形の「長方形沈殿槽」が代表的です。どちらも水の流れを遅く、整流化するための工夫が凝らされています。

沈殿槽を運転する上での管理のポイント

流量の安定化

沈殿槽への流入量が急激に変動すると、槽内の水流が乱れて沈降した汚泥が舞い上がり、処理水質が悪化する原因となります。調整槽などを活用し、できるだけ安定した流量で運転することが望ましいです。

汚泥界面の管理

槽内では、上部の清澄な水と下部の沈降汚泥層の間に、明確な境界面(汚泥界面)が形成されます。この汚泥界面の高さを常に監視し、汚泥が越流堰から流出しないよう、また槽内に汚泥が溜まりすぎないよう、汚泥の引き抜き量を適切に調整することが極めて重要です。

スカム対策

運転状況によっては、ガス発生などにより汚泥の一部が水面に浮上(スカム化)することがあります。スカムは処理水質の悪化や臭気の原因となるため、スカム除去装置(スキマー)で速やかに回収する必要があります。

さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!

沈殿槽の管理では、処理水の「透視度」を日々チェックする習慣がおすすめです。透視度計という簡単な器具で、処理水がどれくらい透き通っているかを測定します。透視度が普段より悪化していれば、それは沈殿槽で何らかの異常が起きているサインかもしれません。数値で記録することで、小さな変化にも気づきやすくなりますよ。

さらに詳しく知りたい方へ

本日は沈殿槽について解説しましたが、関連する「活性汚泥法」「返送汚泥」「余剰汚泥」「バルキング」「キャリーオーバー」「汚泥界面」といった各用語についても、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。もし、沈殿槽の運転管理でお困りのことがありましたら、いつでも澤本商事にご相談ください。

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