嫌気処理

工場の排水処理における「嫌気処理」とは

こんにちは、さわまる博士です。
工場の排水処理で微生物を使う方法というと、曝気槽でブクブクと空気を送る「好気処理」をイメージする方が多いかもしれません。しかし、それとは正反対に、「酸素がない状態」で活躍する微生物を利用した処理方法があります。

それが、本日解説する「嫌気処理(けんきしょり)」です。

さわまる博士

排水処理における「嫌気処理」とは、どのようなものでしょうか?

嫌気処理とは、酸素(O2)がほとんど、あるいは全く存在しない「嫌気状態」で活動する「嫌気性微生物」の働きによって、排水中の有機物(BOD成分など)を分解する排水処理技術です。

この処理方法の最大の特徴は、有機物を分解する最終段階で「メタンガス(CH4)」が発生することです。そのため「メタン発酵」とも呼ばれます。嫌気処理は、主に食品工場やビール工場など、BOD濃度が非常に高い(数千~数万mg/L)排水の前処理として用いられることが多い技術です。

嫌気処理による排水処理のメリットとデメリット

現場で嫌気処理の導入を検討する際は、以下のメリットと、管理上のリスク(コスト)のバランスを理解しておくことが重要です。

  • メリット1:圧倒的な省エネ(曝気動力不要)
    好気処理で最大のコストとなる「空気を送るブロワーの電気代」が不要です。高濃度排水であるほど、このコスト削減効果は絶大です。
  • メリット2:汚泥発生量が少ない
    好気処理に比べ、分解の過程で増殖する微生物(余剰汚泥)の発生量が格段に少ないため、汚泥の産廃処理コストを大幅に削減できます。
  • メリット3:エネルギー創出
    発生するメタンガスは可燃性のため、回収してボイラーの燃料などに利用可能です。ただし、回収・利用設備の導入コストとのバランス検討が必要です。

一方で、以下のような管理上の難しさやリスクもあります。

  • デメリット1:立ち上げに時間がかかる
    微生物の増殖スピードが非常に遅いため、初期の種汚泥確保や馴養(じゅんよう)期間が必要です。また、一度トラブルで微生物がダメージを受けると、回復にも時間がかかります。
  • デメリット2:悪臭・腐食リスク(硫化水素)
    排水成分によっては、腐食性が高く有毒な「硫化水素」が発生します。適切な排ガス処理や脱硫設備、防食対策が不可欠です。
  • デメリット3:厳密な温度・水質管理
    特にメタン菌は、水温やpHの変化に非常にデリケートです。冬場などは加温が必要となり、そのためのボイラー燃料費(ランニングコスト)が発生する場合があります。

さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!

嫌気処理は、電気代を抑えながら高濃度BODを処理できるパワフルな方法ですが、アンモニアなどの窒素成分やリンはほとんど除去できません。

そのため、実際の現場では「嫌気処理か好気処理か」の二者択一ではなく、まず「嫌気処理」で高濃度のBODを大まかに分解し、その後の「好気処理」で残ったBODや窒素・リンを仕上げとして除去する、という「併用」の形で使われるケースが多いんですよ。

さらに詳しく知りたい方へ

本日は嫌気処理について解説しましたが、これと対になる「好気処理」や、嫌気処理の代表的なトラブルである「硫化水素」の発生、そして管理指標となる「アルカリ度」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。

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