ORP(酸化還元電位)
工場の排水処理における「ORP(酸化還元電位)」とは
こんにちは、さわまる博士です。
排水処理、特に生物処理において、水の中が「酸欠状態」なのか、それとも「酸素が十分にある状態」なのかをリアルタイムで把握することは、運転管理上非常に重要です。
pH計のように、水中に電極を浸けるだけでその状態を数値化できる便利な指標が、本日解説する「ORP(オーアールピー)」、日本語で「酸化還元電位」です。

排水処理における「ORP」とは、どのようなものでしょうか?
ORP(Oxidation-Reduction Potential:酸化還元電位)とは、その水が、他の物質を「酸化しやすい状態」にあるか、それとも「還元しやすい状態」にあるかを、電位(電圧)で示した値です。単位は mV(ミリボルト)で表されます。

排水処理におけるORPの活用
ORPの大きな特徴は、DO(溶存酸素)計が測定できない「嫌気状態(酸素がゼロの状態)」における強弱までも数値化できる点にあります。この特性を活かし、排水処理の様々な工程で活用されます。
- 好気処理(硝化)の管理
曝気槽において、微生物が有機物を分解したり、「硝化」を進めたりするためには酸素が不可欠です。ORPが高く(プラスで)維持されていれば、酸素が十分にある「酸化状態」であると判断できます。 - 嫌気処理(脱窒)の管理
窒素除去のための「脱窒」プロセスは、酸素がない「還元状態」で進みます。ORP計でマイナスの値(例:-100mV以下など)を監視することで、脱窒に最適な嫌気状態が保たれているかを確認できます。 - 臭気(硫化水素)の発生予測
調整槽や沈殿槽の底で汚泥が腐敗し始めると、酸素がなくなりORPが急激に低下します。この状態(例:-200mV以下など)を検知することで、悪臭の原因である硫化水素が発生する前に対応(曝気の強化など)することが可能になります。
さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!
ORPは、水温やpHによって値が変動するため、絶対的な数値そのものよりも「昨日と比べてどう変わったか」という「相対的な変化」を見ることが重要です。
例えば、曝気槽のORPがいつもより急に下がってきたら、「流入BODが増えて酸素消費が激しくなったのか?」あるいは「ブロワーが故障して送気量が減ったのか?」といった、排水処理のトラブルを早期に発見する「警報」として役立つんですよ。
さらに詳しく知りたい方へ
本日はORPについて解説しましたが、これが深く関係する「DO(溶存酸素)」や、ORPが重要な管理指標となる「硝化」「脱窒」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。
よく見られている用語

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