工場の排水処理における「汚泥浮上」とは
こんにちは、さわまる博士です。
最終沈殿槽では、活性汚泥が重力で静かに沈み、底に溜まっていくのが理想的な状態です。しかし、時として沈んだはずの汚泥が、ぷかぷかと水面に浮き上がってくる困った現象が起こります。これが本日解説する「汚泥浮上(おでいふじょう)」です。

汚泥浮上とは、何のことでしょうか?
汚泥浮上とは、最終沈殿槽において、一度底に沈降した汚泥が、大小の黒い塊となって水面に浮き上がってくる現象のことです。

なぜ汚泥が浮上するのですか?
汚泥浮上が起こる最も一般的な原因は、沈殿槽の底で「脱窒素反応」が起こってしまうことです。
曝気槽で有機物が分解される過程でアンモニアが硝酸に変わり(硝化)、その硝酸を含んだ汚泥が、酸素の少ない沈殿槽の底に溜まると、今度は脱窒菌が活動を始めます。この菌が硝酸を分解する際に、窒素ガス(N₂)を発生させます。この目に見えない小さな窒素ガスの気泡が、汚泥の塊に無数に付着し、浮き袋のようにして汚泥を水面まで押し上げてしまうのです。特に、水温が高くなり微生物の活動が活発になる夏場や、汚泥の滞留時間が長くなった場合に起こりやすくなります。
汚泥浮上の管理で重要なこと
さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!
汚泥浮上と、以前解説した「バルキング」は、どちらも沈殿槽で起こるトラブルですが、原因は全く異なります。
● 汚泥浮上: 一度沈んだ汚泥が、後からガスで「浮いてくる」現象。
● バルキング: 汚泥自体の沈降性が悪く、そもそも「沈まない」現象。
この違いを理解し、どちらのトラブルが起きているのかを正しく見極めることが、適切な対策の第一歩ですよ。
さらに詳しく知りたい方へ
本日は汚泥浮上について解説しましたが、関連する「最終沈殿槽」「脱窒素反応」「キャリーオーバー」「バルキング」「DO」といった各用語についても、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。もし、汚泥浮上が頻発してお困りのことがありましたら、いつでも澤本商事にご相談ください。
よく見られている用語

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