生物膜

工場の排水処理における「生物膜」とは

こんにちは、さわまる博士です。
散水ろ床法などの排水処理技術では、微生物たちは水中を自由に漂っているわけではありません。彼らは特定の場所に「家」を作り、集団で暮らしています。その微生物たちの生活の場が、本日解説する「生物膜(せいぶつまく)」です。

さわまる博士

生物膜とは、どのようなものなのでしょうか?

生物膜とは、微生物がろ材などの固体の表面に付着し、自らが分泌する粘液状の物質(菌体外多糖類、EPS)に覆われながら形成した、微生物の集合体のことです。英語では「バイオフィルム(biofilm)」と呼ばれます。

身近な例では、台所の排水口のヌルヌルや、川底の石の表面のぬめりなども、この生物膜の一種です。

排水処理における生物膜の役割

散水ろ床法などの、微生物をろ材に固着させて利用する処理方法(生物膜法)において、生物膜は排水浄化の主役です。

  • 微生物の保持
    ろ材の表面に高濃度の微生物を保持することができます。これにより、微生物が処理水と一緒に流出してしまうのを防ぎ、安定した処理能力を維持できます。
  • 汚濁物質の分解
    排水が生物膜の表面を流れる際に、生物膜内の微生物が排水中のBOD成分などの汚濁物質を効率的に捕捉し、分解・除去してくれます。
  • 多様な微生物の共存
    生物膜の内部は、表面と中心部で酸素濃度などの環境が異なります。表面は酸素が豊富な好気環境、中心部に近づくにつれて酸素が少ない嫌気環境となりやすいため、多様な種類の微生物が共存し、様々な汚濁物質の分解に対応できます。

さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!

生物膜は、厚くなりすぎると内部が完全に嫌気状態になったり、古くなった膜が剥がれ落ちて(剥離汚泥)、処理水のSSを悪化させたりする原因にもなります。適度な厚さを保つことが、生物膜法をうまく運用するコツの一つなんですよ。

さらに詳しく知りたい方へ

本日は生物膜について解説しましたが、生物膜が活躍する代表的な処理方法である「散水ろ床法」や、その住処となる「ろ材」、そして生物膜が剥がれ落ちた後の処理を行う「沈殿槽」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。

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