工場の排水処理における「MLSS(活性汚泥浮遊物質濃度)」とは
こんにちは、さわまる博士です。
活性汚泥法を管理する上で、DO(溶存酸素)と並んで、最も基本的で重要な管理指標が、本日解説する「MLSS(エムエルエスエス)」です。
これは、曝気槽の中に「働き手」である活性汚泥菌がどれくらいいるかを示す、大切な数値ですよ。

MLSSとは、どのような指標なのでしょうか?

MLSSとは、Mixed Liquor Suspended Solids の略で、日本語では「混合液浮遊物質濃度」などと訳されます。
これは、曝気槽内の混合液(活性汚泥と排水が混ざった水)1リットルに含まれる、浮遊物質(固形物)の量をmg/L(またはppm)という単位で表したものです。
活性汚泥は微生物の集合体という「固形物」なので、MLSSの数値は、ほぼ曝気槽内の活性汚泥菌の濃度を示していると考えて差し支えありません。
例えば、MLSSが2000mg/Lというのは、曝気槽の水1リットルあたりに2gの活性汚泥が含まれている、という意味になります。
なぜMLSSの管理が重要なのですか?
曝気槽内のMLSS濃度を適切な範囲に保つことは、安定した排水処理を行うための基本中の基本です。
このように、MLSSは低すぎても高すぎてもいけません。その処理場が処理すべき排水の量や質(BOD負荷)に対して、最も効率よく処理できる最適なMLSS濃度があり、その値を維持するように日々の運転管理が行われます。
MLSSの調整方法
MLSSの濃度は、主に「余剰汚泥」の引き抜き量によって調整されます。
MLSSが上がりすぎた場合は、増えすぎた分の汚泥を余剰汚泥として引き抜く量を増やします。逆に、MLSSが下がりすぎた場合は、引き抜く量を減らしたり、停止したりして、活性汚泥菌が増えてくるのを待ちます。
さわまる博士の
ワンポイントアドバイス!
MLSSと似た指標に「MLVSS」というものがあります。これはMLSSのうち、有機物(つまり、生きている微生物)の割合を示す指標です。MLSSが高くても、活動しない無機性の固形物ばかりでは意味がありません。MLVSSを測ることで、より正確に活性汚泥の「活性」の状態を評価することができるんですよ。
さらに詳しく知りたい方へ
本日はMLSSについて解説しましたが、MLSSの管理に深く関わる「活性汚泥法」「曝気槽」「余剰汚泥」「返送汚泥」や、運転指標である「F/M比」といった用語も、併せてご確認いただくことで、より理解が深まります。
MLSSのコントロールがうまくいかずお困りの際は、いつでも澤本商事にご相談ください。
よく見られている用語
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